病気・けがをしたとき

被保険者・被扶養者が病気やけがをしたとき、医療費の多くは健康保険から支払われます。
給付には受診の際の保険証(70歳以上の人は「高齢受給者証」も)の提示が必要です。

医療機関での窓口負担

医療費の自己負担割合は年齢・収入により異なります

医療機関で保険証を提示すると、医療費の一部を自己負担するだけで必要な医療が受けられます。自己負担の割合は年齢や収入などに応じて決められており、一部負担金以外の医療費は健康保険から「療養の給付」として支払われます(被扶養者の場合は「家族療養費」)。

自己負担割合(一部負担金)
小学校入学前 2割
小学校入学後~70歳未満 3割
70歳以上75歳未満 2割
・軽減特例措置対象者*1
・現役並み所得者*2
1割
3割

*1 誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの人で、現役並み所得者に該当しない人は軽減特例措置の対象となり、75歳に達するまで1割となります。

*2 標準報酬月額28万円以上の人、もしくはその被扶養者で70歳以上の人をいいます。

入院したときの食事の費用

医療費とは別に食事の費用が給付されます

入院したときは、医療費の自己負担とは別に、食事の費用を自己負担しますが、残りは健康保険から入院時食事療養費として給付されます。

食事療養標準負担額
区分 食事(1食)
70歳未満 一般 460円
低所得者 210円(91日目以降は160円)
70~74歳 一般 460円
低所得者Ⅱ 210円(91日目以降は160円)
低所得者Ⅰ 100円

*1「低所得者」とは、住民税非課税者等の被保険者とその被扶養者をいいます。
*2「低所得者Ⅱ」とは住民税非課税、年金収入80~160万円の被保険者とその被扶養者をいいます。
   「低所得者Ⅰ」とは住民税非課税、年金収入80万円以下の被保険者とその被扶養者をいいます。

療養病床へ入院したとき 65歳以上

医療費とは別に食費と居住費が給付されます

65歳以上の人が療養病床(慢性病の人が長期入院する病床)に入院したときは、医療費の自己負担とは別に食費(食材費+調理コスト相当額)と居住費(光熱水費相当額)を生活療養標準負担額として自己負担し、健康保険から生活療養の費用(食費と居住費)として入院時生活療養費が給付されます。

生活療養標準負担額
区分 食費 居住費(1日)
一般 1食460円(医療機関によっては420円) 370円
低所得者Ⅱ* 1食210円 370円
低所得者Ⅰ* 1食130円 370円

※難病等の一般の人は260円。難病等は1日にかかる居住費の負担はありません。
*「低所得者Ⅱ」とは住民税非課税、年金収入80~160万円の被保険者とその被扶養者をいいます。
 「低所得者Ⅰ」とは住民税非課税、年金収入80万円以下の被保険者とその被扶養者をいいます。

訪問看護を受けたとき

在宅の末期がん患者や難病患者は、医師の指示で訪問看護ステーションから派遣される看護師・保健師等の看護・介護を受けることができます。訪問看護を受けたときは、その費用の一部が「訪問看護療養費」として支給されます(被扶養者の場合は「家族訪問看護療養費」)。

支給額

訪問看護にかかる費用の一部(療養の給付の自己負担割合と同じ割合)を負担し、残りの金額が支給されます。

柔道整復師(接骨院)にかかるとき

健康保険が使用できる範囲が決められています

接骨院・整骨院は医療機関ではないため、健康保険の使える範囲が決められています。健康保険証が「使える場合」と「使えない場合」があります。単なるマッサージ代わりの利用など、条件を満たさない場合は全額が自己負担となります。正しい知識を持って受診してください。

健康保険の範囲

保険証が使えます
・骨折、脱臼(応急手当を除き、継続してかかる場合は医師の診察と同意が必要)
・急性の外傷性のけがによる捻挫、打撲、挫傷(肉離れ)
・負傷原因のはっきりしている骨・筋肉・関節のけがや痛み

×保険証が使えません
・日常生活の疲れや老化による肩こり・膝の痛みなど
・運動後の筋肉疲労
・病気(神経痛・リウマチ・椎間板ヘルニアなど)の痛み
・脳疾患の後遺症や慢性病からくる痛みやしびれ
・症状の改善がみられない長期の施術
・医療機関で同じ部位の治療を受けているとき
・仕事中や通勤途上のけが(労災保険が適用)

接骨院・整骨院で健康保険を使うときの注意

・健康保険が使えない場合がありますので、痛みの原因を正確に伝える。

・「療養費支給申請書」には白紙で署名せず、記載内容を確認してから署名する。

・受けた施術の記録として、領収書は必ず受け取り、大切に保存する。

・症状が改善しない場合は、医師の診察を受けて、ほかの病気が原因でないかを確認する。